FCAJInterview08 中山こずゑさん

Q1.小さい頃はどんな子どもでしたか?

 小さい頃はGoing my wayな子だったと思います。小学校までは地元の学校に通い、中高は都内の私立女子校に進学しました。小学校の卒業文集に「国際的に貢献できる仕事をしたい」と書いていたのを最近みつけて、自分でも驚きました!
 「国際的に貢献」したいと思ったきかっけは、アポロの打ち上げの映像をみていて、同時通訳という仕事があることを知ったことです。すごい!!同時通訳になろう!と思って、高校の頃から学校と並行して同時通訳者を育成する専門学校にも通いました。でもその学校の校長先生から「あなたは同時通訳には向いていないよ」と言われたんです。「だって、同時通訳って自分の意見言えないんだよ?」と。私のことよく見抜いてるな、と思いました。
 それなら何をしようか…と迷いながら大学に進学、一般教養のマーケティングの授業に衝撃を受けて、英語は手段でしかないと気が付きました。その授業が、マーケティングという概念を日本に持ち込んだ村田昭治先生と井関利明先生との出会いでした。そこから学ぶことに目覚めて、徹底して勉強しました。
 実は、両親は「そんなに勉強してどうするの?短大でいいじゃない?」というタイプだったので、ずっと反抗していました。中学で私学を受験したいといったのも自分の意志。大学院へも理解を得られず奨学金で進学しました。早く家を出たくて、早くに結婚もしました。それでも、意志を通す、行動する、結果を出す、ということは自分でも徹底してきたと思います。

 

Q2.人とのネットワークをどうやって築いてこられましたか?

 私の20代の頃は、大学院を卒業する女性が就職できる企業がなかった。今じゃ考えられないけれど、先生に推薦状を書いていただき、それでも5次審査くらいまでありました。当時自動車産業は花形で、同期入社は900人くらいいた中で、大卒女性は50数名という時代でした。そういう中で揉まれながら過ごしました。今とは違って、××ハラスメントの嵐でした。男性優位の組織の中で、投資が、マーケティングが、と生意気にいうから…宇宙人みたいなのが来た!という感じで軋轢も多かったと思います。上司にこんな言われ方をしたら嫌だ、という経験がたくさんあったので、自分の中で「Don’ts list」をつくっていました。自分は絶対にやらないと心に誓いました。

 人とのネットワークというのは、作ろうと思って作るものではなく、Trust(信頼)だと思います。振り返ってみると「この人のために」とやったことが自分に返ってきていると感じます。真剣に議論をした人とは、いまだに食事に行って「よくケンカしたよね!」なんて話ができます。対立じゃない、Healthy conflict(健全な対立)でしたから。真剣に仕事をやるかどうかは、信頼に繋がっているかもしれません。それに、民間にだけいたのでは、ここまでの人のネットワークはできなかっただろうなとも感じます。行政(横浜市)、第三セクター(パシフィコ横浜)にチャレンジした経験が大きいと思います。

 娘に言われて気づいたのですが、私、初めて行ったレストランでも、1回でスタッフとすごく仲良くなってしまう。別段、自分を印象付けようとしているわけではないけれど、好奇心がそうさせるのかもしれません。

 

Q3.現在、お仕事で多くの重責を引き受けておられますが、引き受ける決め手は何ですか?

 現在、上場4社の社外取締役、社外監査役、多摩大の大学院客員教授、そのほか個人でコンサルタント業務もやっています。社外取締役という役割は重責ですが、オファーを受けるかどうかは、自分の心が動くか?と、相手の熱意を決め手にしています。また、チャンスが来るというのは、私にやれってことかな?と思うようにもしています。

 若い人には、「自分はこういうタイプの人だ」と決めつけない方が良いと伝えたいです。日産自動車時代、大きな部門のジェネラルマネージャーのオファーが来たことがありました。マーケティングの仕事以外やりたくないし、やれるとも思っていなかったのですが、家族に背中を押してもらって引き受けることにました。挑戦してみたら自分の想像以上にできた。心理学で「ジョハリの4つの窓」というのがありますね。他人が見ている自分を否定してしまうと、機会を逃すな、とその時思いました。

 横浜市長(当時)の林文子さんから、文化観光局長へのお誘いがあった際も、考えてもみなかったオファーでした。52歳での決断、会社に残ったなら、それなりのポジションも約束された中で、悲壮な決意をして移ったわけです。でも、さすがのトップセールスパーソンの誘い方は魅力的ではありました。誘われなかったら絶対に行かなかった、でも挑戦してみてよかった、面白かったです。誘われた時に行こうと思うかどうか、一歩渡るかどうか。誰かから強く要望されたら、自分がみえていない自分を見てくれている人がいるということ。そこは大事にした方がいいです。

 

Q4. ストレス解消法はありますか?

 料理!夜中に千切りとか黙々と…。意外だね!と驚かれますが、お味噌、梅干し、塩ラッキョウも自分で作ります。娘が小学生の頃、学校で「お母さんの料理ですきなものは?」と聞かれて「ヴィシソワーズ」って書いたことがありました。まだちゃんと字も書けない頃に「ウ」に点々つけて…。当時ヨーロッパ担当で、ヨーロッパによく行っていて、フレンチやイタリアンをつくるのにハマっていて、我が家の夏の定番料理だったからなんですが。普通、お味噌汁、とかハンバーグ、とか書きますよね。

 体を動かすのも大好きです。どんなに素晴らしい人でも、体調を崩してしまうと体現する場所がなくなってしまうと思うし、鬱鬱している人の下には人はついていかないと思います。落ち込んだ気持ちを晴らすためにも、ヨガに行ったり、ボクササイズに行ったり、スポーツでリフレッシュします。

 

Q5. 20代でやっておいた方がいいことがあったらアドバイスをお願いします!

 私自身、本に出てくる方々と直接話せた!という経験が、すごく滋養になったと感じています。Book smart,Street smartという言葉があるけれど、本を読むよりも、人との出会いがより刺激を与えてくれた、という実体験があるから、多くの人を知って欲しいと思っています。FCAJ理事インタビューは、FCAJをPRしようという動きの中でFCAJに集まる魅力的な「人」を知って欲しいという思いではじめました。人を知らないとここにいよう、入ろうというプラスの想いにならないですから。オンラインの時代ですが、結局は人でしょう?ブランドそのもののエンゲージメントもあるけれど、行きつくきかっけはやっぱり人。尊敬すべき人がいるかどうかが、モチベーションに繋がっていく。どんな世の中になっても人間であり続ける限り変わらないと思います。

 それから、海外に出るチャンスがあったら、行った方がいい。行きたがらない若者も多いし、行くチャンスも減っているけど、休んででも行った方がいいと思います。シリコンバレーにだって、私がもっと若かったら飛び込んでいると思う。日本の閉塞感、立ち位置、外から見た日本のことも体感できると思います。