【開催報告】9/19アカデミー「オープンイノベーション2.0人材の育成」第2回を実施しました

社会課題が複雑化するなか、産官学民の多様な関係者が多層的に連携・共創して解決を目指すオープンイノベーション2.0を推進する人材が求められています。そのあり方を学ぶアカデミーの第2回を9月19日に霞ヶ関の官民共創ハブにて開催しました。

【全3回の目的と構成】

自分を知り(Will発掘)、社会課題を知り(SDGs進捗、日本の現状)、自社のサステナビリティへのコミットメントと照らし合わせて、共通の駆動目標(共創テーマ)を創出し、実行に移すための「場のリーダーシップ」について理解を深める。

・第1回(6/21)「自身の使命感やダイナモ力を呼び覚ます」
・第2回(9/19)「自社の目的を踏まえ、社会課題を解決するビジネスを構想する」
・第3回(秋に予定)「場のリーダーシップを発揮する」


【第2回「自社の目的を踏まえ、社会課題を解決するビジネスを構想する」】

<日時>9月19日(木)15:00-18:00

<講師>小原 愛氏(FCAJ 理事、(一社)Japan Innovation Networkディレクター)

<プログラム>

Part1:社会課題を見極める!

 1. レクチャー:イノベーションのための目的工学

 2. 個人ワーク:Willの振り返り(or 設定)と小目的の設定

 3. レクチャー:社会の大目的としてのSDGs

 4. ワークショップ①:解決する社会課題(大目的)を設定する 

Part2:社会課題を解決するビジネスを構想する!

 5. ワークショップ②:社会課題を解決する中目的(駆動目標)を考える

 6. ワークショップ③:中目的を達成するビジネスを考える

 7. 発表・レビュー

 8. まとめ

事前課題として、参加者が自身の会社・組織の理念・経営戦略・サステナビリティ戦略を「統合報告書」「アニュアルレポート」「中期経営計画書」などで確認し、SDGsの達成に関係がありそうな内容を書き出していただきました。そうすることで、自身のWillと大目的としてのSDGsに照らし合わせて、自社事業につながる駆動目標を設定することが可能になります。

参加者からは、「B to Bの企業がどう社会課題と繋がるか、民と繋がるか考える良い機会だった」、「(グループワークでは)全員業種は異なるのに不思議とビジネスで繋がれるのだという気付きもありました。異業種交流の重要性を再認識しました」「一度通して自分のwillから実際ベースのプロジェクトまで考えるということをしたのは、自分としてもいいトライでした」等々の感想が寄せられました。

SDGsのような共通善の中から、グループワークを通じて個々人の多様なWILLと各社の経営戦略が重なる共通のパーパスをつくり出すことが、産官学民によるオープンイノベーション2.0の起点になることを確認しました。

【開催報告】9/11 テーマオーナープログラム#2「イノベーションの社会実装 ~アイデアを PoC から社会実装に繋げるには?~」を実施しました

9月11日、NTTコミュニケーションズさんオーナーで「イノベーションの社会実装」をテーマに、イノベーションや新規事業の社会実装における有効なツールアプローチを考える目的でテーマオーナープログラムを実施しました。

「アイデア創出はできているが、その後の実装化に至るプロセスが体系化されていない」「収益化までに期間を要する案件が多い中で、共創プロセス自体など非財務的な評価方法も必要」といった課題意識をお持ちの参加者のみなさんと、

PoC(Proof of Concept:概念実証)からの実装における課題やTipsを共有し、必要な仕組みづくりを一緒に考えていく時間となりました。

参加者からは、「複数ゲストで多様な視点が入ったグループ対話で現場の多様な意見も聞けた」「今の日本の共創モデルのフレームを理解し俯瞰できた」などの声が寄せられました。

会場は、NTTコミュニケーションズ社が2022年に開設した事業共創の場「OPEN HUB」。プログラム開催前には、「OPEN HUB」場の見学ツアーがあり、NTTグループだからこその通信技術、オープンイノベーションでの実証実験事例をご紹介いただきました。


<プログラム>(敬称略)

 (1) オープニング、趣旨説明

 (2) OPEN HUBの取り組み紹介、ツール紹介、課題共有
   NTTコミュニケーションズ(株)

 (3) 事例紹介「アイデアを社会実装する取り組みや仕組み」 
            (株)point0 豊澄 幸太郎氏
   SAPジャパン(株)五十嵐 剛氏

 (4) グループディスカッション「アイデアをPoCから社会実装に繋げる上での課題と対策
    テーマ1:「社会実装に有効なアプローチやツール」
    テーマ2:「取り組みの評価(人材のモチベーション設計など)」

 (5)グループ発表

 (6)ラップアップ

<OPEN HUBの取組み紹介、ツール紹介、課題共有>

NTT コミュニケーションズ Chief Catalyst /Business Producer
の畑 貴之 氏より、OPEN HUBが取り組んでいる、社会課題起点のプロジェクト例をなぞらえながら、同社らしい「リアル/リモート/バーチャル」のツールを活用している様子を解説いただきました。
 OPEN HUBで提供されている「知る」「つながる」「体験する」「生み出す」という4つの体験について、具体例を共有いただきました。

参加者が最も気になる「新規ビジネスの創出や社会実装」のプロセス、「生み出す」

フェーズでの共創プログラムでは、社内外のカタリストの存在、課題設定、アイディエーション、ビジネスモデル検証、価値検証、技術検証、事業性検証の流れについて共有されました。

<事例紹介>

株式会社point0 副社長の豊澄 幸太郎氏より、2018年からはじまった「Point0」の取組みについてお話しいただきました。Panasonic株式会社の社員でもありながら、Point0社の副社長としてどのように業務を分けているのかということ自体が興味深いお話でしたが、「本気の企業間共創」として取り組む魅力と難しさが共有されました。実証実験から事業化していく部分については、知財の考え方等について参加者から質問され、リアルな悩みが共有されました。

株式会社Point0 /協創・共創のためのコンソーシアム

次に、
SAPジャパン株式会社の五十嵐 剛 氏より、SAPジャパンの今後の戦略的指針となる中期変革プランのビジョンを社内浸透させるための取組みについて共有されました。やるべき行動を認知し、共感し、実際に行動(実践)する、更にはその行動が定着するというレベルに進んでいくには、どのくらいの人数(全体数からの%)が必要なのか、社内での調査実践から来た数字が共有され、参加者の関心を誘っていました。

<グループディスカッション>

その後のグループディスカッションでは、miroを用いて、「社会実装に有効なアプローチやツール」、「取組みの評価(人材のモチベーション設計など)」の2つのテーマにわかれて、特に議論したいテーマの方に集まってディスカッションをすすめました。

参加者からは、「イノベーションは、事業開発側の志ベースでのストーリーで語られがちだが、近いマーケットを目指して別々のアプローチをしている企業が集まり、新しいマーケットをつくる可能性を考える議論があってもよいのでは」というご意見もありました。


OPEN HUBについて(Webサイトより一部抜粋)】

OPEN HUB for Smart Worldは、社会課題を解決し、わたしたちが豊かで幸せになる未来を実現するための新たなコンセプトを創り、社会実装を目指す事業共創の場です。

各領域に精通した専門家であるカタリストやパートナー企業に所属する「人」とともに、 多様なアイデアや最先端の「技」を組み合わせて、

リアルに、時にバーチャルな「場」で思考を重ね、ビジネス課題の解決に向けた取り組みを行っています。

「知る」「つながる」「体験する」「生み出す」。 OPEN HUBが提供するこれら4つの体験を通して、企業の皆さまとともに、新規ビジネスの創出や社会実装を目指しています。

<Webサイト> https://openhub.ntt.com

OPEN HUB Parkは、大手町プレイスウエストタワー29階

【開催報告】7/29 テーマオーナープログラム#1「官民共創で次世代に向けたより良い社会システムを構想する」を実施しました

7月29日に中央日本土地建物株式会社のオーナーで、「官民共創で次世代に向けたより良い社会システムを構想する」ことを目的に、テーマオーナープログラムを実施しました。

気候変動や国際情勢、テクノロジーの進化等で世界が大きく変わろうとする中、DXやGX、SXも含め社会全体としての変化が途上な日本において、中長期的な視点で官民が共創して社会のグランドデザインを描き推進するための場とエコシステムについて考えました。

参加者からは、「産官学民の多様なメンバーが集い、官民共創のあり方という高い視座で議論できた」「社会課題解決のために実践されている産官学金の皆様の話を聞きディスカッションできた」「産官学民連携について、一緒に活動できる場があると実感できた」などの声が寄せられました。

なお、会場の官民共創HUB(https://kanminhub.org)は、中央日本土地建物株式会社が2027年に開設予定の(仮称)虎ノ門イノベーションセンター(※)の前身として設立した施設であり、様々な省庁と官民共創による社会的インパクト活性化に向けた勉強会やワークショップ等が開催されています

   ※(仮称) 虎ノ門イノベーションセンターに関する今年1月のプレスリリースです↓

          https://www.chuo-nittochi.co.jp/news/uploads/20240122_toraiti.pdf


<プログラム>(敬称略)

15:00 オープニング

15:05 官民共創HUBの紹介 -川島 興介(中央日本土地建物(株) 事業統括部イノベーション開発室リーダー)

15:20 パネルディスカッション

     「官民共創で社会システムのグランドデザインを描き推進するための場とエコシステムとは? 」

 <官の視点>千正 康裕( (株)千正組 代表取締役:元厚生労働省企画官)

 <市民の視点>大西 連(認定NPO法人もやい 理事長 及び内閣府政策参与)

 <企業の視点>加藤 昌治( (株)博報堂UoC プロデューサー)

 <研究機関の視点>斉藤 卓也(情報・システム研究機構 副機構長、元文部科学省 産業連携・地域支援課長)

 <金融の視点>大谷 智一((株)みずほフィナンシャルグループ/(株)みずほ銀行 サステナブルビジネス部)

16:30 <休憩>

16:40 グループディスカッション

17:30 全体シェア

17:50 ラップアップ

<官民共創HUBの紹介>

冒頭の官民共創HUBの紹介では、虎ノ門イノベーションセンター(仮称)のコンセプトとして、「官民共創によるエコシステムを構築し、社会的インパクト創出/活性化及び普及啓蒙による機運醸成を通して、「新たな企業成⾧の在り方の実現」「三方よしのインパクトエコノミーの形成」に貢献する」というアウトカム目標が共有されました。また、中央省庁との次世代政策に関する勉強会である官民ラウンドテーブルをはじめ、年間150件(2023年度)のプログラム誘致や主催勉強会などを通じて、「多様なステークホルダーと連携するうえで課題の立体化・構造化を図り、課題に対する関わり白を明確化することで自分事・自社事を進めていく必要があること」「課題の構造化を図るうえでは入り口部分で当事者を含むマルチステークホルダーによる議論が重要であること」「新しい価値観や個々のイノベーションを実装するためには、社会システムそのもののバージョンアップを官民一体で推進する必要があること」など新たに見えてきた課題の共有もありました。

<パネルディスカッション>

その後の産官学民金5者の立場によるパネルディスカッションでは、分断を越境しミクロとマクロの視点で社会システムの再構築を行っていく観点で以下4つをキーワードに議論がなされました。

①    分断の壁を取り払い接点を設ける

②    接点の中で互いのおかれた状況を知る

③    議論を昇華させながらより良い次世代を共有し、そこまでの道程を描いてく

④    描いた道程を共に歩みながら共感の輪を拡げ、三方良しの和をなす社会を作る

ルールメイキング等の政策を担う省庁では、「本来であれば現場や官民交流の場に赴く中で生の声を取り入れながら政策を作ることが望まれるところ、多忙を極める中で当該時間を確保できていない」という実態や「社会課題が複雑化するなか審議会などでの議論が小粒になっている」との現状も挙げられました。

また、NPOサイドからは「社会課題は身の回りにも多く存在し、実際に解決に向けて行動している団体も多く存在する中で、分断が埋まらない要因の一つとしては『関わり方がわからない』『その課題に対して深く知らない』といったことに対する心理的ハードルが挙げられるのではないか」「お互いを知る機会が増えるだけでもかかわり方を見出して連携が前に進むこともある」という見解がなされました。

議論を通して「分断の解消に向けてはマルチステークホルダーが集い互いを知るための接点をセッティングし共通目標となるビッグピクチャーを描いていこう」との共通項が見出されました。

一方で、「単に集まっただけではなく、議論を昇華し行動に落とし込んでいくことが重要であるところ、そのための進行役の役割がキーになる」との意見がなされました。具体的には、「意図をもって場をコーディネートすること」「議論を円滑に進行するためにゴールに向かって、意見を引き出したり、消極的な人がいたら意見を出しやすいようなムードをつくる」など、『潤滑油としてのファシリテート型』と、『自ら積極的に議論に参加して場の議論を積み上げていくジェネレート型』双方をうまく組み合わせながら議論を昇華していくことが重要であることが共有されました。

そうして生まれた社会インパクトにつながる事業を民間事業としていかにサステナブルに推進していくかという観点で、「中長期的な取り組みに関しても資金が集まる金融システム(インパクトファイナンス)の推進等が求められる」といった意見や、「消費者側としても価格ではなくストーリーに共感して消費行動を行うといった価値観・文化を浸透する必要があるなか、教育においても課題を自分事として捉え、何ができるかを探索し、アクションを起こすアクティブラーニング型の教育が浸透することで、行動に落とし込む癖をつけることも重要ではないか」との意見も出るなど、多岐にわたる観点での白熱したディスカッションが交わされました。

<グループディスカッション>

その後のグループディスカッションでは、ワークシートを用いて、官民共創で社会システムのグラウンドデザインを描き、推進していくために必要な「場」と「エコシステム」の在り方についてパネルでの論点も踏まえて議論しました。

今回の議論を通して、マクロとミクロの視点を行き来しながら次世代の社会システムを描き、官民共創でより良い次世代に向けた取り組みの実績を積み重ね、その知見を共有・伝播していくことで中長期的に社会のトランジションを起こすことにつながるのではないか。そのためには、政策担当者だけではなく、投票権を持ち消費生活者である市民、ビジネスで社会成長を導く民間事業者、研究と教育で知識創造を担うアカデミア、経済活動を支える金融資本、それぞれが共通のビジョンの基に領域横断的な議論やアクションが求められるのではないか、などが考察されました。


一般社団法人官民共創HUBについて

官民の垣根を超えた多様な関係者による対話を通し、社会に対する新たな価値の提供を共に創る活動(官民共創)を推進するべく、ビジネス創出や交流を図る環境や場を整備するとともに、関係者間のコミュニティ形成に係る支援等を行い、社会課題に対して官と民が協働で解決に向け取組む社会の実現に貢献する。

【開催報告】アカデミー「オープンイノベーション2.0人材の育成」第1回を実施しました

社会課題が複雑化するなか、産官学民の多様な関係者が多層的に連携・共創して解決を目指すオープンイノベーション2.0を推進する人材が求められています。そのあり方を学ぶアカデミーの第1回を6月21日に霞ヶ関の官民共創ハブにて開催しました。

【全3回の目的と構成】

自分を知り(Will発掘)、社会課題を知り(SDGs進捗、日本の現状)、自社のサステナビリティへのコミットメントと照らし合わせて、共通の駆動目標(共創テーマ)を創出し、実行に移すための「場のリーダーシップ」について理解を深める。

・第1回(6/21)「自身の使命感やダイナモ力を呼び覚ます」

・第2回(9/19)「自社の目的を踏まえ、社会課題を解決するビジネスを構想する」

・第3回(秋に予定)「場のリーダーシップを発揮する」

【第1回「自身の使命感やダイナモ力を呼び覚ます」】

<日時>6月21日(金)15:00-18:00

<講師>仙石 太郎(FCAJ理事、(一社)知識創造プリンシプルコンソーシアム 共同代表)

<プログラム>

 1)ダイナモ度を測る 

 2)ダイナモとは何か

 3)自分のなかのダイナモを呼び起こす

① 自分を知る ② 自分の価値観を知る ③ 自分のなかの社会性を知る ④ 自分のWillを知る

ダイナモは上司の期待に忠実なアウトプットをつくる人ではなく、社会や市場、顧客をよく見て、隠れた問題とその本質を考え、解くべき課題や目的を自ら設定し、解決に向かって情熱的に突き進む人たちです。

当日は、人生曲線や偏愛マップなどのシートを用い、ペアワークを通じて、自身のWILL(意志・意欲)を発掘しました。特に偏愛マップは、社内外での共創プロジェクトの立ち上げ時などに活用すると、チーム内の信頼関係構築に役立つのではという感想も聞かれました。

参加者からは、「自分一人だけでは気づけない本当の自分を見つけられた気がします。業務に追われてこういうことをなかなかできないのが現状でしたが、大切な時間だなと思いました。」、「内省はイノベーションの一つキーワードだと感じているので、過去と現在から自身のコンピテンシーを見つけられたのはよかった。」等々の感想が寄せられ、自身のダイナモの源泉を認識する機会となりました。

【開催報告】第8期定時総会を開催しました

FCAJの第8期定時総会を5月28日にコクヨのTHE CAMPUS(https://the-campus.net)にて開催しました。第1部の総会に続き、第2部では「未来志向のリーダーシップ」をテーマに共同代表理事による対談や、それを踏まえてのグループ対話などを行いました。

■当日のプログラム

・第1部(15:00-):第8期定時総会

・第2部(16:00-):FCAJ共同代表(山際理事、中山理事)の対談「未来志向のリーダーシップ」

・第3部(17:00-):第2部対談を受けてのグループ対話

・ラップアップ(17:45-)


第1部の総会では、2023年度の活動実績と2024年度の活動計画の報告に続き、決議事項では2023年度の決算書類と理事・監事の重任を承認いただきました。

第2部は、齋藤理事によるコクヨ「THE CAMPUS」の紹介に続き、FCAJ共同代表の山際理事と中山理事による対談が行われました。

山際理事からは、豊田通商時代に人事制度の変革やトーメンとの合併の際に、関係者とのオフサイトミーティングを重ねて相互理解を深めて推進した話や、若手有志で自社の未来を語り合う議論を役員を上手に巻き込みながらトップ層へ提言し採用されたことなどを通じて、本気で本音の対話ができる場によるミドルアップの重要性を提示されました。

中山理事からは、日産自動車、横浜市文化観光局長、パシフィコ横浜CEOを経て、現在は様々な社外取締役を務めている経験から、都市における場のリーダーシップについて語られました。特に横浜市でのロープウェイやセグウェイの社会実装をはじめ、人気アニメとのコラボイベントなどでテーマパーク並みの賑わいを実現した背景から、都市のイノベーションには規制緩和や住民との協調が不可欠であり、トップとしてのアカウンタビリティやコミットメント、スタッフへのフォローなどの重要性を強調されました。

その後の質疑応答では、企業が社会課題に取り組む上で、自身が一市民として感じている課題感を大事にすることや、井の中の蛙にならないように自身の無知を自覚し社外に目を向けること、本気本音で対話するためにロールプレイで相手の立場になるのも有効であることなどが語られました。

第3部のグループ対話では、社内でイノベーションが起こるためには社員を信頼して権限移譲することや、ミドルが内省を通して感情的に1人称で考えさせると同時に組織を動かす上での力学を理解し駆使すること、さらには組織内のサイロを壊す上で人事評価の割合を自部門と他部門への貢献を50:50にすること等々が挙がりました。また短期的な売上に固執しがちな中で、売上以外の社会インパクトを可視化して評価するようなインパクトファイナンスの考え方や、社外での議論の盛り上がりを自社へ共有する上での課題なども挙げられました。


THE CAMPUSについて(以下、コクヨH Pより引用)

  THE CAMPUSは、コクヨ株式会社が運営する「働く・暮らす」の実験場。元はオフィスビルだった建物の一部を開放し、どなたでもご利用いただけるパブリックエリアを新たに創設しました。オープンなラウンジや公園、ショップ、コーヒースタンドなど、親しい仲間と語り合ったり、ゆったりと過ごせる街に開かれた環境を通して、多様で豊かな混ざり合いを生み出していきます。

【開催報告】4/23 2024年度FCAJキックオフ「City as a Platform for Societal Innovation - 社会共創のデザイン」を開催しました

2024年度 FCAJキックオフを4月23日に阪急阪神不動産の共創空間「NORIBA10 umeda」(今年3月オープン: https://noriba10.jp )にて、リアル会場とオンライン配信のハイブリッドで開催し、合計80名(32社)が参加しました。

今年入会された3社も交え、都市における社会課題に対してさまざまなプレーヤーが共創できる仕組みやエコシステムを考えながら、FCAJメンバー間で相互交流いたしました。

■当日のプログラム(敬称略)

14:00 オープニング、FCAJ代表挨拶

14:05 会場紹介   - 高岸 実良(阪急阪神不動産)

14:10 キーノート「都市と社会共創イノベーション」 - 紺野 登(FCAJファウンダー)

14:25 パネル「産官学民の共創による社会課題解決が実現する都市とは?」

           - 高岸 実良(阪急阪神不動産)、野村 幸雄(渋谷QWS/東急)、片田江 由佳(福岡地域戦略協議会)、村上 卓也(UR都市再生機構/FCAJ理事) 

            MC 齋藤 敦子(コクヨ/FCAJ理事)

15:35 休憩

15:50 グループディスカッション「社会共創のデザイン」(2ラウンド)

16:50 全体シェア

17:10 参加メンバーの自己紹介(本日の感想と今年度FCAJでやりたいこと)

17:50 ラップアップ、FCAJ2024年度活動方針


キーノートでは、紺野氏(FCAJファウンダー)から、都市は社会課題の現場であり、かつイノベーションの場であるとして、「都市化:多くの都市は脆弱、ハードソフトの社会課題の温床」「知識社会・経済の都市ネットワーク」「アーバンアントレプレナーシップ」「市⺠がつくる都市」「場から⽣まれるイノベーション」などのキーワードが提示されました。

その後のパネルディスカッションでは、「産官学民の共創による社会課題解決が実現する都市とは?」をテーマに、高岸氏(阪急阪神不動産)からはグラングリーン大阪などの長期プロジェクトが走る中で梅田の特徴を活かした社会課題の解決につながる都市のあり方について問題提起されました。続いて、野村氏(渋谷QWS/東急)からは企業やスタートアップ、大学など様々な連携パートナーが集う渋谷QWSの特徴としてミートアップからアクセラレーション、実証実験等の多様なプログラムや、地方自治体向けの首都圏コミュニティ連携支援などが挙げられました。片田江氏(FDC福岡地域戦略協議会)からは、産学官⺠⼀体で福岡都市圏の成⻑戦略の策定から推進までを⼀貫して⾏うFDCの特徴や、多数のコワーキングスペース、インキュベーション施設、スタートアップが集積する天神・博多エリアでは市民の力も引き出しながらリビングラボ等を推進する様子が紹介されました。

後半のグループディスカッションでは、前半を踏まえて参加者が議論したいことを分類した結果、以下の7つのテーマが設定され自由にグループに分かれて活発な対話がなされました。

・地域課題からの問いのつくり方

・生活者・市民発想

・梅田のイノベーションエコシステム

・企業のイノベーションセンターが社会共創にどう関わるか

・場の運営ノウハウ

・地域間連携+グローバル

・イノベーティブ・クリエイティビティな人財


■テーマオーナーの感想(高岸 実良(阪急阪神不動産))

プログラム実施前には、梅田の課題を他の視点からきいてみたいと考えていました。渋谷、福岡の事例の中にたくさんヒントをいただけました。また、今後の梅田のまちづくりで一緒に議論することとなる方々に参加いただいたことで、これからの議論のベースとなるポイントをいくつか共有することができたことは有意義であったと思います。

FCAJには、研究開発系企業の方が大部分だと思い込んでいましたが、全国各地で地域のイノベーションエコシステム形成の取組みをされている方が多いことを知り、繋がりをもてたことは今後の弊社の取組みにおいて非常に大きな収穫になったと感じています。

■NORIBA10 umedaについて

  阪急電鉄と阪急阪神不動産による共創の場。国内外の事業会社の新規事業担当者やスタートアップ、投資家、学生など様々な立場の「創る人々」がこの場に集い、それぞれの課題と思いを共有し、アイデアを試行錯誤し、情報を発信することで大阪梅田発の新たな価値を創造する場となることを目指している。

HP  https://noriba10.jp

【開催報告】3/14第11回FCAJシンポジウム「Place-based Innovation –“イノベーション”と“場”の再定義」を開催しました

3月14日にJX金属のイノベーション施設「SQUARE LAB.(スクエアラボ)」にて、第11回FCAJシンポジウムを、リアル会場とオンライン配信のハイブリッドで開催し、合計140名が参加しました。リアル会場には約70名が集まり、施設ツアーや交流会なども行いました。

地政学的リスク、気候変動による予測不能な災害、またChat GPTに代表される人間の存在意義さえも変える可能性のあるテクノロジーの台頭等、現代社会の直面する課題は従来の考え方の延長では解決が難しい状況になっています。今回は、長期視点で次世代につながる豊かな社会を目指すためのイノベーションを産む仕組み、またそれを実践する上での「場」の役割を考えました。

 ゲスト1人目の石黒氏(TDK(株)取締役会長)からは、大企業でありながらもベンチャー精神が根付いた組織文化へのチャレンジストーリーをお話しいただき、2人目の藤原氏((株)NOTE代表取締役)からは、地域創生という社会課題を、文化資産を活用したビジネスで解決する事業をご紹介いただきました。

■当日のプログラム(敬称略)

15:00 オープニング

15:05 SQUARE LAB.のご紹介 - 山岡 利至(JX金属(株) 技術本部 技術戦略部)

= 第1部 概念編 =

15:10「イノベーション・エコシステム:場の構想力が未来を創る」
     - 紺野 登(FCAJファウンダー)

= 第2部 実践編 =

15:55「Sustainable Venture Spirit ~攻めのガバナンスを実現する多国籍型経営モデル」
             - 石黒 成直(TDK(株)取締役会長)

17:05「社会課題を解決する価値創造 ~歴史的資源(古民家等)を活用した観光まちづくり」
             - 藤原 岳史((株)NOTE代表取締役)

 17:50ラップアップ  - FCAJ共同代表理事(中山こずゑ、山際 邦明)

17:55クロージング(18:00終了)


= 第1部 概念編 =

概念編では、「イノベーション・エコシステム:場の構想力が未来を創る」と題して、FCAJファウンダー紺野氏から、イノベーションの「エンジン」は知識創造であり、それはマネジメント的オフィスでは起きず、「場」の構想力が組織力を左右することが述べられました。

そのためには、イノベーション経営システムに「場」を組み込む必要があり、それがハブになってエコシステムが形成され、イノベーションディストリクトとして都市における面的なインパクトにつながることを国内外の事例も交えながら紹介しました。

= 第2部 実践編 =

実践編ではTDK(株)取締役会長の石黒氏から「Sustainable Venture Spirit ~攻めのガバナンスを実現する多国籍型経営モデル」と題して、TDKの創業から現在に至る成長過程やチャレンジ精神、そしてあらゆるものが転換点を迎えている変化の時代において多様性とスピードの重要性が語られました。

長期視点によるバックキャストで自ら事業シーズを探索することや、ハードルを低くした社内ベンチャー制度、社長の振る舞いが企業の心理的安全性を高めるなど、大企業におけるイノベーション創出の示唆をいただきました。

「TDKのベンチャースピリットの源泉については以下のWebサイトの動画もご覧ください(企業同士がフラットに協業するオープンイノベーションの原点をご覧いただけます)。
https://www.tdk.com/ja/venture-spirit/index.html?corp_topbja=

実践編のお二人目は、(株)NOTE代表取締役の藤原氏から「社会課題を解決する価値創造 ~歴史的資源(古民家等)を活用した関光まちづくり」と題して、小さな地域でも固有の生活文化から価値を創造し次世代につなげる、古民家等を活用したエリアマネジメントを紹介いただきました。

地域資源を有効活用し、まち全体を回遊する分散型開発を、まちづくり開発会社を核に地域特性に応じて12のパターンで対応しています。そして若者から重鎮まで様々なステークホルダーが自分ごととして共創する「場」づくりと、住民自らが課題解決する「仕組み」の構築を伴走支援することで持続可能なビジネスを推進しています。

会場やオンラインからも多くの質問やコメントをいただき、大企業の視点と地域コミュニティの視点から、「場」の構想力、イノベーションのあり方について多面的に考える機会となりました。


■シンポジウム会場、SQUARE LAB.(スクエアラボ)について

  JX金属の2040年長期ビジョンに基づき、新たな価値を生み出し続ける「技術立脚型企業」へのシフトを加速させるために2020年に移転した新本社に併設したイノベーションセンター。非鉄金属の更なる可能性を追求する共創を推進する場として、ビジネスパートナーのみならず、社会課題に関心を持つスタートアップや大学などの教育・研究機関とも活動しています。

https://www.jx-nmm.com/rd_sp/sqlab/

【開催報告】2/26 テーマオーナー構想プログラム#2「心理的安全性イニシアチブ」を実施しました

2月26日に富士通のオーナーで、「イノベーションのための心理的安全な場と役員・マネジメント層の関与を考える」ことを目的に、テーマオーナー構想プログラムを実施しました。

参加者からは、「心理的安全性を高めるステップと、マネジメントや経営層にどう声を届けていくかの仕組みが勉強になりました」、「グループディスカッションで異業種のメンバーとの課題の共有を通して自社の文化を外側から見つめることができて、より良くしていくためのモチベーションが高まりました」などの声が寄せられました。

<プログラム>

15:30 オープニング

15:35 インプット「富士通の考える心理的安全性とその取り組み」(富士通)

16:05 パネルディスカッション(前田建設工業、NTTデータ、コクヨ、富士通)

16:35 自己診断 「自社の取り組みや役員・マネジメント層の関与を振り返る」

     <休憩>

17:00 グループ対話①「自己診断での対話 〜自社の文化に関する課題〜」

17:30 グループ対話②「富士通の心理的安全性Playbookの紹介」

                   「行動の振り返りと自身として実践できるアクションの言語化」

18:00 Wrap-up

インプットセッションでは、富士通で心理的安全性デザインプロジェクト(社内名称 Project ExSeed)を推進している平野さんから活動紹介いただきました。役員インタビューや協力を得やすい部署から着手し、PlayBookなどのツールを開発して効果検証を図るなどデザインアプローチも取り入れながら進めていました。その結果、心理的安全性の醸成を図ることは、組織の課題や改善につながる声の表出や、イノベーション・価値創造のベースとなり、自社の変革に向けた各施策の有効度を高めることにつながることが確認されてきています。

その後のパネルディスカッションでは、FCAJ共同代表の山際理事の進行で、前田建設工業、NTTデータ、コクヨ、富士通の4社で自社の取組みと課題について対話しました。個人の原体験や趣味を語り合うことで関係性をフラットにしたり、トップとの座談会を頻繁に開き現場の声(課題)をしっかりフォローするなどの取組みが紹介された一方で、ミドル層へどうアプローチするかやエンゲージメントとKPIとの相関性などの課題も挙げられました。

パネルディスカッションのようす

その後のグループディスカッションでは、ワークシートを用いて、自社の制度と文化とのギャップや、これまでの行動の振り返りとこれからのアクションを考えました。

「まずは協力的な組織を探して小さな取組みからスタートしたい」、「まず自分から歩みよる」、「経営側からのアプローチが必須であるものの、草の根的に進めていけるものも多い」、「ファシリテーション/場づくりへの更なる配慮」、「心理的安全性を高める他社の具体的事例を社内へフィードバックする」など様々なコメントが寄せられました。

グループディスカッションのようす

ワークシート

引き続き本テーマについては、有志で議論を深めるなど継続的に活動していければと思います。

FCAJ理事インタビュー/Index

FCAJBAOでは、FCAJメンバーに「FCAJ理事」のことを知っていただき、理事メンバーをいろいろな場面で“活用”していただくべく、2022年度からFCAJ理事インタビュープロジェクトをすすめています。
FCAJ理事のイノベーションマインドがどう育成されてきたのか?普段見えない一面や、経験の裏側を聞き出していくインタビュー。打合せの前に、FCAJイベントの前に、理事との会話のきっかけに、是非ご一読ください


若手の越境人材の育成の機会とも位置付け、インタビュアー(聞き手)はFCAJメンバー企業の若手の方々に担っていただいています。

インタビューの記事は、FCAJホームページ「Team」中、各理事の紹介文にあるボタン[Interveiw]からもご覧いただけます。
https://futurecenteralliance-japan.org/team

【開催報告】12/13 アカデミー「システマティック・イノベーション・マネジメント」を実施しました

今年度のFCAJアカデミーでは、オープンイノベーション2.0人材をテーマに、過去2回は以下のトピックを扱いました。

・6月:第1回「自身の使命感やダイナモ力を呼び覚ます」(FCAJ仙石理事)

・7月:第2回「社会課題を解決するビジネスを構想する」(FCAJ小原理事)

その第3弾として、12月13日にFCAJの会員メンバーでもあるJapan Innovation Networkのオーナーでシステマティック・イノベーション・マネジメントをテーマに以下のプログラムを実施いたしました。

【当日のプログラム】

・今なぜシステマティックなイノベーションが必要か

・IMS(イノベーション・マネジメントシステム)とは

・ISO56002とは

・グローバルなIMS導入事例

・IMP(イノベーション・マネジメントプロフェッショナル)とは

・個人・グループワーク(自己診断・GAP診断+議論)

会場のSENQ霞ヶ関での様子

日本の国際競争力が低下するなか、戦略的にイノベーションに投資し、組織的にイノベーション活動を行う必要性を再認識し、ISO56002で国際規格化されたIMS(イノベーション・マネジメントシステム)の概要やその原理原則を理解しました。

IMSの原理原則

リーダーは現場のイノベーション活動に自ら時間を割くというコミットメントを示すことが必要であったり、外部環境の変化に応じて組織の生態系を柔軟に変更したり、組織全体としてシステムとして機能するシステムアプローチの導入、顧客等が自社へ寄せる期待値を常に意識することなどをはじめ、1つでも欠けるとイノベーションシステムは十分に機能しないことを実感しました。

グループワークでは、各自が自社のISM成熟度チェックシートで自己診断したものをもとに自社の強みや弱みを共有するなど議論がなされました。

また、海外では普及し始めている新たな専門職であるIMP(イノベーション・マネジメントプロフェッショナル)の役割について、イノベーション先進国のスウェーデンで導入されているカリキュラムについても理解を深めました。北欧の先進的な病院ではすでに専属のIMPが複数名配置されている例もあります。

今後、IMSやIMPの考え方が広まり、イノベーションエコシステムに関わるあらゆるプレーヤーに浸透することが、オープンイノベーションやコレクティブインパクトにつながることと思います。

【開催報告】フィンランド遠征報告会を開催しました

12月6日に渋谷QWSにてフィンランド遠征(10/8-13)の報告会を実施し、オンライン参加者も含め合計70名が参加しました。

当日は遠征参加者全員が登壇し、都市や人財育成、R&D等の視点から、現地で得た学びや成果を共有し、私たちのイノベーション活動にどう取り入れるか議論しました。

【プログラム】(敬称略)

(1)   遠征概要と考察: 村田博信(FCAJ理事)

(2)遠征参加者によるパネルダイアログ

①スマートシティ、都市

- 佐々木誠(三井不動産S&E総合研究所)、久富雅史(小田急電鉄)、村田博信

②人財育成、スタートアップ

- 岩田健太(東急/渋谷スクランブルスクエア)、佐藤将(ジェイフィール)、齋藤敦子(FCAJ理事、コクヨ)

③R&D、エコシステム

- 高倉淳(味の素)、野村幸雄(東急/渋谷スクランブルスクエア)、中山こずゑ(FCAJ共同代表理事)

(3)フィンランドとの連携のご紹介(動画) :清水眞弓(Enter Espoo)

会場の様子

(1)遠征概要と考察

R&Dイノベーションや教育、スタートアップ、都市という視点で見た時に、ウェルビーイングとサステナビリティを大目的にあらゆる取組みがエコシステムとして有機的に連携され、市民参加型で社会をドライブしていることが印象的でした。

遠征の視点と各特徴

(2)遠征参加者によるパネルダイアログ

①スマートシティ、都市

[主な訪問先]Oodi公立図書館、Iso Omenaショッピングセンター、カラサタマスマートシティ

市民が自由なスタイルで利用できるリビングルームとしての公立図書館や、市民が必要とするサービスを1箇所に集めたショッピングセンター、各所で市民の声を拾うフィードバックシステムを設けアジャイル式に開発を進めるスマートシティ・リビングラボなど、市民中心のまちづくりが徹底されていました。

さらにはカーボンニュートラルなどのような社会インパクトにつながる行動変容のサービスデザインなど、社会課題を自分ごとにする(行政任せにしない)工夫が随所に見られました。

②人財育成、スタートアップ

[主な訪問先]アールト大学、Make with Espoo (就学前教育)、Nordic Deep Tech Business Summit、Maria01

大学生が企業から中長期なテーマと資金を与えられ自由な発想でプロトタイピングや、移民の多い国として就学前から多様な価値観を学ぶ「世界観(World View)」というプログラムなど、実践的かつ複眼的に構想する力を育む教育システムです。

また北欧最大級のスタートアップには200社近くが入居し、国が進めるサステナビリティと足並みを揃えることでVTT技術研究センターやスマートシティとの連携や資金調達のエコシステムが形成されています。さらには学生主催のスタートアップ支援活動をはじめ、起業する上での心理的や金銭的なハードルが低いことも特徴です。

③R&D、エコシステム

[主な訪問先] VTT技術研究センター、ノキア

技術研究のみならず未来シナリオや組織改革などの顧客向けソリューションを通じていかに社会実装するかというソフト面の充実や、プロトタイプをユーザー視点で議論する場作りが長けています。さらにはメガトレンド等に基づくリソース配分やロードマップの柔軟性、シナリオのバージョンアップなどがサステナブルに回る仕組みが印象的です。

またセクター間で多様な人材が流動することで、個人ベースの多様性と、組織ベースの多様性が増し、さらにフラットな組織文化などがエコシステムの基盤にあります。そしてみんなで社会課題を解決しようという熱量が高く、行政や教育機関はそれを妨げない姿勢で後押しします。

(3)フィンランドとの連携のご紹介(当日は動画でご紹介)

エンターエスポーでは、技術リサーチや現地訪問、法人設立サービスなどを通じて、日本企業のイノベーション促進としてエスポー市を活用いただくサポートをしています。フィンランドやエスポー市のウェルビーイングへの取り組み、イノベーションエコシステムの様子などを現地で体験いただくプログラムも現在検討中です。

【海外遠征報告】FCAJフィンランド遠征

2023年10月8-13日にFCAJメンバー企業9名がフィンランドに遠征しイノベーションエコシステムについて、産学官民の視点から多面的に探求し、現地で意見交換してきました。

ウェルビーイングやサステナビリティを大目的に、あらゆる取組みがエコシステムとしてオーケストレーションされ、市民参加型で社会をドライブしているのが印象的でした。

詳しいレポートは下記からグローバル活動レポートをご覧ください。

【開催報告】テーマ構想プログラム#1「創造性と問い」を開催しました

9月20日に博報堂UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)にてUoC流のマンダラ形式(創造性が衝突し、越領域の才能が出会う対話)で「創造性と問い」をテーマに構想プログラムを開催しました。

当日は、約20名の高校生(N高S高)や大学生(慶應SFC 鈴木寛研究会)と、FCAJメンバー約30名が、創造性を拓く問いを一緒に考えました。

参加者からは「とても楽しかったです。そして、奥深かったです。問いは哲学だと再認識しました。ありがとうございました!」「創造性を創発する問いを考える中でハッと気づかされることが多かったです。 誰に対しての問いなのか?何を聞かんとしているのか?言葉の選び方は適切か?考えるよう今後意識します。」「問いをどうやったら生み出せるか、のヒントを得られて、これからもやってみたいです!」「日常生活の中で無意識のうちに考えていたりするものの、なかなか言語化することのできないものに思考を馳せることができた。」等々たくさんの感想が寄せられました。

マンダラ式対話の場

<プログラム内容(敬称略)>

MC:星出 祐輔(博報堂UoC)、根本 かおり(博報堂)
(1)   UoCの設立背景  - 波多野 昌樹(博報堂 執行役員)
(2)   UoCの活動紹介、自己紹介(アイスブレイク)
(3)キーノート、パネルディスカッション「よい問いとは?」

  - 鈴木 寛(慶應義塾大学SFC教授)

  - 嶋本 達嗣(博報堂 元執行役員)

  - 山際 邦明(FCAJ共同代表理事)

  - 紺野 登(FCAJファウンダー):ビデオメッセージ

(4)グループ対話:よい問いの条件を考える

(5)グループワーク:具体的な社会課題をテーマによい問いを考える

(6)グループ発表


事前課題では、全参加者から「人生で深く印象に残っている問いとその理由」をお寄せいただき、それらをグルーピングした「問いの地図」も参照しながら、創造性を導く良い問いの条件について考えました。

「問い」の地図

問いの地図もトリガーに、パネリストや参加者との間で、創造性や問いに関する様々なキーワードも出てきました。

「創造性とは強烈な難問に向き合うことと当事者性」「正解がないが考え続けたくなる問い」「遠く(未来)から自分を俯瞰する問い」「感情に訴える表現力がセクシーな問い」「どんどん発想が広がり問いが連鎖する問い」「問いはアート(それぞれの価値観によって捉え方が異なりお互いに新たな発見がある)」

また、自分ごとから発議したものであっても皆が共感するためにはどうするか、自分の問いと自分たちの問いの変換をどうするかなども会場から投げかけられました。

特に学生からの、違和感や矛盾を臆せず率直に発言する(問う)姿勢によって、場が活性化し、FCAJメンバーも大いに刺激を受けました

パネルディスカッション

グループワークではスクリーンに投影された数々のテーマの中からグループごとに1つ選び良い問いを考えました。最後の発表では、「AIからプロポーズされたら受け入れる?」「社会的な私利私欲ってどんなもの?」「いま見えていて見たくないものは何?」「300年後ひとはどのように死ぬのか?」等々、深く考えさせられる問いがたくさん出ましたが、アウトプット以上に議論のプロセス自体がとても価値あるものでした。

複雑で大きな課題に立ち向かう創造性主導社会では「答え」を考える力より、「問い」を考える力が求められます。そんななか多くの組織がすぐに結果を求める短期志向になりがちですが、じっくりと問いを考えることで、筋の良いコンセプトや世界観を描くことが、結果的に大きなビジネスや社会インパクトにつながることを再認識しました。

知識や見栄に邪魔されずに、本音で本気の対話が成立する場やコミュニティーの広がりが産官学の組織の中でも多発し連携が加速することが望まれます。さらには今回のマンダラで経営層や役員クラスと次世代との対話が実現すると多世代によるコレクティブ・ブレインのインパクトは計り知れないと感じました。

プログラム開始前の場の見学ツアー

プログラム終了後の懇親会

プログラムの様子は、UoCのホームページでも紹介されています。

https://uoc.world/articles/details/?id=b0lb_ee1m

【開催報告】EMICフォーラム2023「これからのイノベーション経営と場」を開催しました

8月22日にNTT西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」にて、EMICフォーラムを、リアル会場とオンライン配信のハイブリッドで開催し、合計150名が参加しました。リアル会場には約80名が集まり、現地ツアーやディスカッション、交流会などを行いました。

イノベーションの「場」づくりをリードしてきた経営層によるイノベーション経営と場の重要性、ならびに場の推進者における運営の工夫や今後の展望など、2つのパネルディスカッションを柱に進行しました。

■フォーラムの構成

(敬称略)

(1)オープニング

(2)QUINTBRIDGEのご紹介 

- 浮田 昭夫(NTT西日本 イノベーション戦略室 事業開発担当シニアマネジャー)

(3)キーノート「未来志向の構想に基づくオープンイノベーション」

- 紺野 登(FCAJファウンダー)

(4)パネルディスカッション1「イノベーション経営と場」

- 白波瀬 章(NTT西日本 執行役員 技術革新部長)

- 河原 克己(ダイキン工業 執行役員)

- MC 仙石 太郎(リワイヤード 代表、FCAJ理事)

(5)パネルディスカッション2「EMICオーディット(場の診断)で得られた示唆と今後の展望」

- 市橋 直樹(NTT西日本 イノベーション戦略室長)

- 三浦 洋介(コクヨ イノベーションセンター センター長)

- 小島 健嗣(design MeME 代表、FCAJ マイスター)

- MC 齋藤 敦子(コクヨ 主幹研究員、FCAJ理事)

(6)クロージング

冒頭のQUINTBRIDGE活動紹介では、オープンからわずか16ヶ月で個人会員1.3万人、法人会員900組織以上のネットワークを形成し500回以上のイベント開催というソフト面やフロア構成というハード面(1F「新たな出会い」、2F「アイデア実現」、3F「事業拡大」)が紹介されました。続いて、FCAJ紺野 理事兼ファウンダーからは、現業からオープンイノベーション経済へ橋渡しするトランジションマネジメント(移行期事業経営)における知識創造経営や場の重要性が語られました。

 

 パネル1では、「イノベーション経営と場」をテーマに、NTT西日本やダイキン工業のオープンイノベーション(OI)を進める目的や、成果、人材育成などをディスカッションしました。OIを進める背景として、異分野への進出やスピード感の不足などがあげられるなか、場の役割・成果としては、社外のメンバーとの本気で議論し合えるような信頼関係構築や、社会課題へチャレンジする人材ネットワークの形成など非財務的な尺度が紹介されました。

今後は、極めて問題意識の高い人たちが集まり真剣勝負してもらえるか、そういう人材が行動に移せるための学びの機会や試せる機会を提供することの重要性が確認されました。

 パネル2では、NTT西日本やコクヨで実際に場からイノベーションを生み出す活動の推進者によるディスカッションを行いました。場の利用者やステークホルダーとの信頼関係を培い、経営層を巻き込みながら、実践から学ぶというプロセスを仕組み化することへのチャレンジが語られました。そのためにも、場づくりは必要条件であり、十分条件としては、いかに情熱持った人材を集めるか、コンテンツなどのソフト面を場がいかに支援できるかが重要であることが議論されました。

 パネルディスカッションではリアルとオンラインの参加者も交えたムードメーター(問に対する個人の感覚を可視化)も行ったところ、参加者の9割以上が場の運営に課題を抱えており、経営層または社員の巻き込みのどちらも重要性を感じていました。

会場では、FCAJの研究成果をまとめたWISEPLACE最新号Vol.5「EMIC~オープンイノベーションを加速する共創の場の評価モデル~」を参照しながら聞かれていた方々も多数いました。

フォーラム終了後は、FCAJメンバーとQUINTBRIDGE会員間とのネットワーキングセッションも行われました。

■QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)とは

NTT西日本が運営するオープンイノベーション施設です。企業・スタートアップ・自治体・大学などが自由に交流し、それぞれの思いやアセットを共有しながら共創を進め、実社会での活用をめざします。

会員とともに社会課題の解決と未来社会の創造を成し遂げ、ウェルビーイングが実感できる社会を実現することを目的としています。

【開催報告】アカデミー「オープンイノベーション2.0人材の育成」を実施しました

社会問題が複雑化し、企業単独では対応できなくなり、企業・大学・政府・自治体・研究機関・市民など、多様な関係者が多層的に連携・共創して解決を目指すオープンイノベーション2.0の時代となりました。

自社利益を単独追求するのではなく、社会善のもと利益をシェアする経営モデルの主役はダイナモ人材です。産官学民の共創エコシステムをデザインできる資質を高めることを目的に、6月と7月の2回にわたり霞ヶ関の官民共創ハブにてFCAJアカデミーを実施しました。

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■第1回「自身の使命感やダイナモ力を呼び覚ます」

6月16日(金)15:00-18:00

<講師>仙石 太郎(FCAJ理事、(一社)知識創造プリンシプルコンソーシアム 共同代表)

■第2回「社会課題を解決するビジネスを構想する」

7月14日(金)15:00-18:00

<講師>小原 愛(FCAJ理事、(一社)Japan Innovation Networkイノベーション加速支援グループ ディレクター)

■第1回「自身の使命感やダイナモ力を呼び覚ます」
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■第1回「自身の使命感やダイナモ力を呼び覚ます」

ダイナモは上司の期待に忠実なアウトプットをつくる人ではなく、社会や市場、顧客をよく見て、隠れた問題とその本質を考え、解くべき課題や目的を自ら設定し、解決に向かって情熱的に突き進む人たちです。

当日は、以下の流れで個人ワークやペアワークを通じて、WILL(意志・意欲)を発掘しました。

①自分を知る/ ②自分の価値観を知る

③自分のなかの社会性を知る

④Will を構造化する

⑤Willを物語化する

参加者からは、「自分自身を見直す大変有意義な時間となりました」、「他者から意見をもらえて自己理解が深まりました」、「自分の中にあるモチベーションに気づくことができました」等々の感想が寄せられ、自身のダイナモの源泉を認識する機会となりました。

■第2回「社会課題を解決するビジネスを構想する」

目的工学の手法を活用し、第1回で見出したダイナモの源泉”WILL”を小目的に、“SDGsの達成”を大目的にして、双方をつなぐ駆動目標を考えながら新規事業を構想しました。

グローバルレベルでの最新のSDGs達成状況や、FCAJが提唱する目的工学を理解しながら、以下の流れでグループワークを行いました。

① 自分のWILLや専門性を棚卸しし、小目的を設定

② 自身の関心あるSDGsターゲットを持ち寄りグループで1つ設定

(選定基準は、熱量や多数決、全員のWILLを包含するなど様々)

③ ①と②を俯瞰しながら駆動目標(筋の良い具体的な活動目標)を出し合い1つに絞る

④ 駆動目標を達成するビジネスを考える

参加者からは「中目的(駆動目標)を考える癖をつけようと思いました」、「SDGs起点のビジネス創造は、異業種での共創活動を進めるのに非常に効果的に感じました」、「異業種での開催ってパワフルだなと感じました。どう実現させるかのハウツーより、何故そうしたいかの個々の想いに立ち戻りやすい議論が生まれていました」等々の感想が寄せられました。

SDGsのような共通善の中から、グループワークを通じて個々人の多様なWILLが融合する共通のパーパスをつくり出すことが、産官学民によるオープンイノベーション2.0の起点になることを確認しました。
(記:村田博信)

【開催報告】オンラインセミナー「北欧流イノベーション思考」を開催しました

 6月26日に海外連携アカデミー企画として、「Nordic Ways of Innovation Thinking」をセミオープン形式で開催しました。今回は、イノベーションシティとして注目されるエスポー市と、フィンランドの科学技術イノベーションを牽引する国営のVTT技術研究センターとの共催で、ナレッジやテクノロジーを人間志向で社会実装する「北欧流イノベーション思考」を学びました。

ウェルビーイングを自分ごととしながら社会の目的を共有し、お互いの信頼関係のもとに力を合わせて共創するという示唆に富んだ話を伺い、チャットを通じても多くの意見交換がなされました。

 ウェルビーイングを自分ごとしながら社会の目的を共有し、お互いの信頼関係のもとに力を合わせて共創するという、示唆に富んだ話を伺うことができました。

【セミナーの構成」

【プログラムタイムテーブル」

1.エスポ―イノベーションストーリー

メルビ・ヘイナロ氏 / Ms. Mervi Heinaro
エスポー副市⻑(経済開発・スポーツ・⽂化担当)

エスポー市がグローバルレベルでの課題解決に取り組むためのシステミックなアプローチとして、越境した革新的コラボレーション、目的の共有、信頼文化の醸成、ウェルビーイングありきのチャレンジ、など4つの柱があります。

具体的には、MSのデータセンターの排熱再利用や、VTTにおける研究者の感情気候(ウェルビーイング)とパフォーマンスとの相関関係などのインパクト事例が紹介されました。

またフィンランドは社会の階層がフラットな印象を持たれがちですが、現実はそこまでの理想でもない中で、いかにその意識を持つかが重要とのことでした。

 

2.アールトベンチャープログラム

ミョンジ・スー氏 / Ms.Myungji Suh
アアルト⼤学ベンチャープログラム事業部⻑

アールト大学のスタートアップセンターが大学発ビジネスアクセラレータの世界トップ3に入るぐらい、起業家教育が盛んで、起業がキャリア選択の1つになっています。

背景には、大学、高校、職業教育機関等が、汎用的なスキルとして起業家教育を積極的に実施したり、アールト大学発祥のスタートアップイベント“Slush”を学生が運営することでスタートアップがカッコイイという起業文化の醸成にもつながっているとのことです。併せて政府や公共セクターが、起業に必要な資金や人脈、リソースを得るサポートをし、産官学が一丸となってスタートアップを応援しています。

アールトベンチャープログラムでは、海外フィールドワークを通じてグローバル規模の課題解決を考える視座も養ったり、Starting Upという無料の起業プログラムを公開しています。またイノベーション担当の副学長を配置することで、大学単独ではないイノベーションエコシステムの形成も推進しています。

 

3.ノキアLuxTurrim5G

ユハ・サルメリン氏 / Mr. Juha Salmelin
ノキアLuxTurrim5G エコシステムリーダー

スマートシティのデータプラットフォームのインフラとして、センサーやカメラ付きのスマート街灯を設置。人やモビリティの流れや、エリア情報を収集・分析し、マケットプレイスで共有することで、他社のサービス開発に活用してもらったり、市民のウェルビーイングにつながる公共政策に役立ててもらう事業です。

ノキアは携帯電話での経験を活かしデジタルプラットフォームビジネスへ転換し、パートナー企業にとってのエンジンとなるエコシステムを形成いるようです。

 

4.フィンランドのイノベーションシステム

ユッシ・マンニネン氏 / Mr., Jussi Manninen
VTT エグゼクティブバイスプレジデント

VTTは、フィンランドの経済・雇用省傘下の公的研究センターであり、企業や大学、その他の研究機関、省庁、自治体等の戦略的パートナーとして、EUのリサーチファンド獲得も担っています。また、VTTからのスピンオフを支援するサイエンス・スタートアップ・インキュベーター“VTTラウンチパッド”により、多くのスピンオフ企業も生まれています。

フィンランドにおけるRDIの原則は、1.予測可能性と長期的アプローチ 2.レバレッジ効果 3.包括性 4.科学の自由と研究・教育の質 5.インパクト 6.競争力 7.協力 8.国際化 9.グローバルな課題 10.技術の中立性、などです。その研究例として、バイオテクノロジーを活用した食糧生産や、ケミカルリサイクルによるプラスチック問題解決、量子コンピューティングの社会実装などが挙げられました。

 

【報告】新代表理事のご紹介

5月30日に行われましたFCAJの第7期定時総会にて共同代表制が承認され、中山こずゑ理事山際邦明理事が共同代表理事に就任いたしました。

社団法人化して8年目となり、組織としての新陳代謝や更なるスケールアップを図ってまいります。

なお紺野登理事ファウンダーという肩書きとなります。

新体制のもと、イノベーションの場のエコシステムを通じたオープンイノベーションを推進する知識創造プラットフォームを押し進めていきます。

[新任代表理事略歴]

中山 こずゑ:

慶應⼤学⼤学院社会学研究科修⼠課程終了後、⽇産⾃動⾞(株)⼊社。グローバルブランドコーディネーションビューロー副本部⻑、その後横浜市に⼊庁、2012年から横浜市⽂化観光局⻑、2018年(株)横浜国際平和会議場CEO、⼀般社団法⼈Future Center Alliance Japan理事、多摩⼤学⼤学院社会⼈MBAコース客員教授、2019年より、(株)帝国ホテル社外監査役、2020年TDK(株)及びいすゞ⾃動⾞(株)社外取締役。

山際 邦明:

東北⼤学卒業後、豊⽥通商株式会社に⼊社。⽶国法⼈駐在、⼈事部⻑、経営企画部⻑を経て、株式会社トーメン(現豊⽥通商)に出向し、合併準備を担当。その後、豊⽥通商執⾏役員、常務取締役、専務取締役、取締役副社⻑を歴任。2019年副社⻑退任後は、シニアエグゼクティブアドバイザーとして全社の組織開発・⼈材育成を担う。2022年6⽉、シニアエグゼクティブアドバイザーを退任。

【開催報告】2023年度総会を開催しました

5月30日に日建設計の「PYNT(ピント)」にて、以下の3部構成でFCAJの第7期定時総会を行いました。

     ・第1部(14:00-):第7期定時総会 
     ・第2部(15:00-):会場「PYNT」のご紹介、見学
     ・第3部(16:00-):ネットワーキング(名刺交換等)

第1部の総会では、昨年度の活動報告と今年度の活動計画をご紹介しました。さらには組織としての新陳代謝やスケールアップを図ることを目的に、中山こずゑ理事と山際邦明理事が共同代表に就任いたしました。なお、一般社団法人創立から代表を務めました紺野理事はファウンダーという肩書となります。

第2部では、4月にオープンしたばかりの日建設計の共創の場「PYNT(ピント)」をイノベーションデザインセンターのチームの皆さまにご紹介いただき、見学をしました。

共創に至るまでのプロセスや、そのステップごとに関わる人材やアクティビティを意識した工夫(什器や備品、表示システムなど空間構成)が随所に施されていました。社内外を上手に巻き込む場の力が引き出されていました。

第3部のネットワーキングでは、約60名の参加者同士の名刺交換や、完成したばかりのWISEPLACE5号「EMICガイド」も参照しながら、交流を深める「場」として活用いただきました。会場は熱気に包まれたまま盛会のうちに終了いたしました。

デザインラボのレポートを発行しました

企業単独ではなく社会とつながるオープンイノベーション2.0では、社会や顧客の機会やニーズを企業の資源と繋げていく場が鍵になります。そこでデザイン思考をはじめとして、デザインという知的資源を有効に活用すべきだと考え、あらためてデザインと産業や経営との関係に向き合うために2022年度にデザインラボという研究活動を進めてきました。

具体的には、FCAJ構想の場のテーマ(サーキュラーソサエティ、サイエンスコミュニケーション、リビングラボ)を議論する中で、デザインの役割や価値を見出してきました。

多くの企業で「イノベーションへの道筋が見えない」「短期志向のため長期的な取り組みが難しい」という課題に直面していますが、マクロ的な論理とミクロ的な視野狭窄の相互理解を促す手法や表現をデザインという行為が媒介すると「人」の視点が入り、自分ゴトとして納得しながら行動変容や意識改革が促せます。

 デザインは、アフォーダンスやメタファーを駆使し人に寄り添う界面を新たに創り、人と社会の関係性をカタチとして与える一つの方法であり、それを組織的に実現することがデザインマネジメントでもあります。

 デザインラボの活動から見えてきた考察をまとめたレポートのサマリページを以下よりご覧いただけます。

【開催報告】FCAJシンポジウム2023「閉塞感を打破しよう!」を開催いたしました

一般社団法人FCAJ(Future Center Alliance Japan:代表理事 紺野登)は2023年3月10日3年ぶりのリアルとzoomによるハイブリッドシンポジウムを開催いたしました。 コロナ禍における日本全体に蔓延している閉塞感・停滞感をいかに打破するか、
東京パラリンピック2020 ステージアドバイザー 栗栖 良依氏、
エーデルマンジャパン代表 郡裕一氏、
ベルギー王室外務貿易大臣経済外交アドバイザー イザベラ ユベルツ氏
等による問いかけ学ぶ場を提供、ピラミッド型ではなく、水平線に豊穣の海が作れるような“場”の重要性を確認。以下にエッセンスをまとめます。

1)社会課題を解決する意思のある企業はトラストが高い 郡裕一氏

エーデルマンが行っている大規模なトラスト調査によれば、日本は残念ながら、高度信頼社会ではない。グローバルでも言えることではあるが政府への信頼度は他国比較でも低く、その中でも唯一希望が持てる組織体は民間企業である。多くの人々は企業に対して利益を追求するだけでなく、社会課題を解決を期待している。これらの解決には企業だけでなく、NGOや他の団体と共同して発信し、社会への共感を呼ぶことがよりトラスト、ブランド力に繋がっていくと考える。

2)マイノリティとマジョリティの考え方を変えることが境界を乗り越える 栗栖良依氏

誰でもクリエイティビティは何らかの形で持っているはず。それが発揮できないのは、心理的安全性を担保できない組織が多いから、またそのクリエイティビティを育む教育の課題だと考える。同調圧力によって、個人の意見が言えないのであるなら、マジョリティとマイノリティという心の壁を壊す必要がある。見方によってマジョリティとマイノリティなど変わるものだ。むしろ多様性と調和を重んじることでクリエーティビティは発揮される。

3)組織のみではなく個人の多様性に気づくことで成長する イザベルユベルツ氏

組織の多様性はよく言われるが、むしろ自分の内面にある多様性に気づくことが、自分が成長するチャンスとなる。「我々日本人は・・・」といった言い方に代表されるように属している組織を代表するような発言が散見されるのは日本人の特性。しかしながら一人一人はそれぞれ多様性を持っている。これは国籍や性別ではない、考え方の多様性。それらを認め合得ことで互いが成長し、イノベーションが生まれる。そんな場づくりが重要である。

                                           以 上