世代や属性を超えて、社会的意義に基づく共創をつくろう。
PURPOSEHOODプロジェクト(以下PPH)とは、2020年度から開始した研究プロジェクトです。社会性と経済性が両立した目的でつながる共創をどうやったら増やせるか?という問いのもと、次世代の価値観やプロジェクトを切り口に、実践者へのインタビューや共創事例の分析を通してそのヒントを探っています。
PURPOSEHOODとは【PURPOSE】目的・社会的意義を重視する【HOOD】人のつながり・連帯をつくりたいという意味を込めて名付けられています。
利益重視の協業から、社会的意義を中心とした共創に。
一社一企業では解決できない複雑で横断的な課題が多い現代において、複数のステークホルダーによる共創がますます必要になっています。また、経済合理性だけではなく、社会性とのバランスが重要になってきています。しかし、社会課題解決を掲げている企業でも、単なる利害関係ベースの協業を抜けだせていなかったり、一社対一社で横に繋がらないオープンイノベーションがまだまだ多いのではないでしょうか。
そこで、重要になってくるのが、自組織の目的だけではなく、より広く社会的意義のある目的を共有したマルチステークホルダーでの共創です。
では、社会性と経済性を両立する目的でつながる共創は、どうやったら増やせるのでしょうか?
現在、ESG投資やSDGsの影響もあり、企業も行政も大学も研究機関も、オープンイノベーションや共創に向かっています。どの組織も、目指す方向は分かっているのに、どうしたらいいかわからない。といった状況なのではないでしょうか。
そこで私たちはプロジェクトと個人の2つの観点から仮説を立てました。
この仮説について掘り下げるため、
・属性を超えて共感できる目的をもつプロジェクトはどんな仕組みか
・プロジェクトの中で踏ん張る個人はどんな考え方か
を明らかにするため、2つの手法で研究を行いました。
1.社会的意義のあるのは当たり前で共創プロジェクトを立ち上げている次世代の実践者へのインタビュー
社会的意義のある目的を中心にプロジェクトを立ち上げている次世代の実践者8名へのインタビューを行いました。彼らの課題意識と活動の目的、どんな価値観を持って、日々どんな行動をし、プロジェクトをどのように進めているかを聞くことで、目的共有型の共創を行う人の要件の仮説を作成しました。
2.マルチステークホルダーで新たな価値を共に生み出している共創プロジェクトの分析
国内外のマルチステークホルダーで新たな価値を共創している好事例を収集し、”パーパスモデル”という手法を用いて事例を分析しました。
※パーパスモデルとは事業やプロジェクトにおけるステークホルダーとその役割・個々の目的・そして共通目的を可視化するツールです。
以上より、目的でつながる共創を実現する個人の4つの考え・プロジェクトの3つの要件とフェーズごとの状態を明らかにしました。
この詳細については年度末のレポート、または12/9のオンラインイベントにご参加頂きご覧いただければと思います。
最後に・・・
次世代との共創は次世代だけの問題ではない
少子高齢化が進む、世代交代による新しい価値観へのアップデートが困難な日本において「次世代との共創」は価値観のアップデートを健全に加速させるために、社会全体で本気で取り組む必要のあるテーマだと思います。
そして、大企業や行政等の組織は、その構造上、権威や権利が上の世代に集中している分、新しい価値観へのアップデートが起きづらいことを自覚していかなければなりません。
たとえば、今回のコロナ対応でも、台湾をはじめ諸外国と比べてデジタル化が遅れていたことが顕著になったように、気付いた頃には世界からおいていかれているかもしれないし、組織の外でいろいろなことができるようになった今、次の時代を担う優秀な人材が抜けていくことは企業の持続可能性にも大きく関わってくるのではないでしょうか。
一方、これからの時代をつくる若い世代も、上の世代が意思決定の中心となっている大企業・行政・大学のような影響力の大きいステークホルダーを切り捨てて、自分たちだけで突き進むのではなく、彼らをうまく巻き込んでいく方が、より大きなインパクトを生み出していけるはずです。
今回の取り組みをきっかけに、FCAJの活動に若手の層を作り、より社会的意義のある目的に向かって進むための力強いつながりにしていきたいと思っています。
アカデミープログラムのご案内
12/9「次世代の価値観やプロジェクトを切り口に、目的でつながる共創を考える」
社会性と経済性を両立する目的でつながる共創はどうやったら増やせるのか
社会課題解決を掲げている企業でも、技術や自社リソースでできる範囲のビジョンや、利害関係ベースの協業を抜けだせていないことも多いのではないでしょうか。
私たちは、本当の意味での社会的意義のある共創を実現するには属性を超えて共感できる目的をもつプロジェクトと、その中で踏ん張る個の意思とつながりが必要であると考えます。
私たちは今回、社会的意義のある目的を持ったプロジェクトの事例や次世代の実践者へのインタビューを通して、社会的意義のあるパーパスのあるプロジェクトはどんな価値観を大切にして生まれているか、そしてどうやって育っていくかについて研究いたしました。
<実施概要>
【日時】 12月09日(水) 18:00〜20:30(開場17:45)
【テーマ】次世代の価値観や取り組みを切り口に、目的でつながる共創を考える
【実施形態】オンライン
(お申し込み頂いた方に12/7(月)にオンライン参加のzoomリンクをお送りします。)
【参加費】無料
【参加者】FCAJメンバー+メールやSNSでご案内を受け取った方のセミオープン形式
【プログラム(予定)】
18:00- はじめに
18:10- インプットトーク:研究成果の共有
「PURPOSEHOODプロジェクトの課題意識と研究結果の概要共有」
18:40- ゲストトーク①+対話と質疑
「社会的意義を中心に共創を行う次世代の人の価値観や行動」
ゲスト:一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN 代表理事 能條桃子さん
19:05- 休憩(5min)
19:15- ゲストトーク②+対話と質疑
「目的共有型共創のエコシステムを実現しているプロジェクトとパーパスモデル」
ゲスト:BONUS TRACK(下北線路街)企画者 小田急電鉄株式会社 橋本崇さん
19:45- ゲストトーク③+対話と質疑
「共創を生みだす組織にとってのPURPOSEの重要性について」
ゲスト:株式会社エフアイシーシー 代表取締役社長 森啓子さん
20:05- まとめ
20:10- ディスカッション(15min)
20:25- おわりに/アンケート(20:30終了予定)
ゲスト紹介
【お申込み】
・フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe-9xD_6XiVATeafXwsgD9h6qH7hOXddFkwk1eBHrWhE21EqA/viewform
・お申込期日:12月4日(金)
・問合せ先:FCAJ事務局 (Eメール:fcaj_info@futurecenteralliance-japan.org)
※上記Googleフォームへアクセスできない場合は、直接事務局までお申し込みください。
また、この機会はただイベントに参加するというだけでなく、私たちの問いかけに対して、危機感や課題意識のある方と繋がることのできる貴重な機会だと思っています。
正直、まだこういう想いを持っている人、ちょっと少なくないですか?
FCAJというイノベーションエコシステムを起点に私たちはこういった問いかけに反応してくれる顔の見える関係を組織を超えて増やしていきたいと思っています。
皆様のご参加お待ちしております!
プロジェクトメンバー一同