2025年1月4-11日にFCAJメンバー企業13名がオランダに遠征し、イノベーションエコシステムの視点から現地視察ならびに意見交換してきました。
オランダは、サーキュラーエコノミーをはじめフードバレーでも有名なサステナビリティ先進国であり、かつ世界デジタル競争力ランキング2023(IMD)で2位や、グローバルイノベーションインデックス2023(WIPO)で7位など、国際競争力も高く、シェルやフィリップス、ユニリーバ、ING、ASMLなど多くのグローバル企業がR&D拠点や本社を構えます。今回の遠征は、サステナビリティを駆動するエコシステムの視点で、企業や社会のトランジションをもたらす構想力やイノベーション創出の仕組みに関する知見を深めてきました。
<プログラム概要>
(凡例:産:企業等、学:大学、研:研究機関、官:省庁、民:市民&自治体、街:フィールドワーク)
コンテナ群からなるスタートアップビレッジ
観光地の立地を活かしたリビングラボ
フードバレーのスタートアップ「農作物監視ドローン」の実験場
廃材を利活用したサーキュラーエコノミーのインキュベーション施設
オランダ水利運輸管理庁のフューチャーセンターでのワークショップ
企業250社が集積するオープンイノベーションキャンパス
<遠征を通じた考察>
国として気候変動や戦争、移民など大きなリスクに直面するなか、食糧・資源・エネルギー・データなど他国に依存しない持続可能な社会を目指している
イノベーションエコシステムの目的は、売上などの財務価値のみならず社会インパクトを重視
エコシステムは大学を中心としたものや(エーデ市のフードバレー、アムステルダム市のサイエンスパーク)、大企業を中心としたもの(アイントフォーヘン市のフィリップスの元城下町)、スタートアップを中心としたもの(ロッテルダム市のサーキュラーエコノミー系のブルーシティ)、自治体主導のもの(ハーグ市のリビングラボ)などタイプは様々ある
そのエコシステム形成に必要な要素を政府系研究機関(TNO)などが体系化し、オーケストレーション人材の育成や官民連携につながる政策提言、さらにはリージョン間の連携促進も担っている
またサステナビリティの重要なテーマであるサーキュラーエコノミーでも、建築廃材や廃棄食糧の利活用、衣類のサブスク、旧造船所や旧プールの複合施設の再利用、エネルギー循環型のホテル・住居など、様々な実験を進めている
これらのベースには、社会課題への高い意識と対話から共創を見出すシチズンシップや文化も重要な要素と思われる
<参加者の感想(アンケート回答から一部抜粋し編集)>
イノベーションが起きるオランダのエコシステムとそれが生まれた背景を知れたことや、日本における課題、取り組みの方向性をしっかり認識することができました
ソサエタルイノベーションやエコシステム、オーケストレーションの世界観と実践について多くの学びがありました
参加者の意識と熱量が高く、よい刺激をいただけました。またバックグランドが多様なため自分にない視点での質疑やディスカッションができました
日本での活動を軌道修正する上での本質的なヒントが発見できました
自身の業務に近い先進的な情報が得られました
様々な施設を訪問できたことで、イノベーションの原動力をより深く学ぶことができました。またサステナブル、サーキュラーエコノミーに関わる人達の生の声、自身の仕事を誇りに思っている姿から刺激を受けることができたことが非常に良かったです
オランダのイノベーションエコシステムとサーキュラーエコノミーの現状を知れたことで、日本でチャレンジできそうなことが見えてきました
オランダと日本の相違点を理解した上で、組織風土変革に活かしたいです。また社会起業家と接することは、研究員の意識改革にも資するので、今回の訪問先とは何らかのコラボレーションを探りたいです
社内の各種共創活動において、民間企業だけの一過性のものではなく、当初から官や民との連携を視野に入れて実施したいです
今回得た情報は社内へ還元し、その中で興味があるところについてはオランダとつなげるなどのアクションをしたり、企業や官民連携でできるところは積極的に進めたいです
中長期的には、訪問先と連携したプログラムをつくりたいです。短期的には、今回得た知見を関係者に伝えていきたいです